【血管肉腫という病気】
血管肉腫は血管内皮由来の悪性腫瘍です
 発生年齢の平均は犬猫ともに8歳〜の高齢ですが、希に若い動物にもみられます
 犬の場合大型犬に多く,特にジャーマンシェパード、ゴールデンレトリーバーなどは
 最も発生の多い品種という報告があります。
 血管肉腫は3大悪性腫瘍と言われており、発見の如何では腫瘍の破裂から死を招きます
 犬と比較すると猫の発生は非常に少ないといわれています

・発生部位
 血管の集中している脾臓に最も多く発生します
 その他に右心房、皮膚、皮下組織、肝臓、肺、腎臓、口腔、筋、骨、膀胱、腹膜などの
 発生が確認されています
 脾臓には、血管肉腫、リンパ腫、あるいは平滑筋肉腫など様々な悪性腫瘍が発生します
 そのうち血管肉腫は臨床的に悪性血管内皮腫とも言われ、非常に転移率が高く
 脾臓の血管肉腫の摘出後の平均余命は1年以内であるとの報告もあり、
 特に肝臓に転移している症例は予後不良と言われています
 

・臨床症状
 脱力、腹部膨満、脈・呼吸数の増加、粘膜蒼、体重減少などが
 最も多く報告されていますが、小さな出血とその吸収を繰り返している場合は、
 脱力・虚脱と、その状態からの回復を繰り返すことがあるかもしれません
 最も急性の物では腫瘍の破裂や体腔への急激な出血に続く突然死でしょう
 

・診断
 診断は病歴、臨床症状、身体検査、X線写真、超音波検査などで進めて行き
 腫瘍の生検や切除による病理学的検査により確定します
 腫瘍部位の破裂や出血などが起きない限り通常の血液検査による発見は難しく
 貧血のための来院で発見される事も多くあります。
 

・治療
 犬でも猫でも外科手術が第一選択になります
 この場合可能な限り根治的な手術を行いますが、
 転移性のある腫瘍ですので、ほとんどの場合、術後の化学療法(抗がん剤)を
 考慮する必要があります
 その他に免疫細胞賦活物質などを使用した生物学的製剤を併用した研究もあります
 血管肉腫自体、有効な薬剤は無く、日本では許可されていない「サリドマイド」を
 個人輸入して治療にあたる獣医師もいますが、決定的な治療薬ではありません
 

・予後
 通常は皮膚以外にできる血管肉腫の予後は良くありません
 皮膚にできるものの中で、真皮を侵すタイプのものに限っては生存期間が長いという
 データがありますが、皮膚以外の発症については腫瘍化した部位を摘出しても
 再発率が非常に高く、術後の平均生存期間は2〜6カ月とされています